おじき木人拳

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11. Tom Waits – Bone Mahine

記憶が確かなら、渋谷の現ドン・キホーテが入っているビルにまだHMVが入っていた頃(ドンキの前はパチンコ屋で、さらにその前のファッションビルだった頃)、地下1階にあった洋楽フロアの試聴機で聴いて、なんだかわからんがとにかくヤバそうだなと思って買った1枚。
ジャケはお面を被った本人らしいけど、本当に意味わからんし不気味で不穏なジャケで最高。

そこらにあった鍋やバケツを集めてぶっ叩いたパーカッションをメインに、合ってるんだか合ってないんだか分からないヨレヨレ一歩手前の演奏が乗っかった、だいぶオルタナティブ・ロック(それもよりアングラな方)寄りな内容です。
一応、ピアノ弾き語りの割と真っ当なバラードもいくつか収録されているとはいえ、キャリア初期のアルバムのような、ジャジーなピアノ弾き語りスタイルを期待したファンが聴くとガッカリする事間違いなしなアルバム、かも知れませんが(このジャケでそれを期待する人はあんまりいないか)、わたくし的にはこれが初トム・ウェイツだったので、むしろこれ以降のオルタナ路線の方が馴染み深かったりします(初期のアルバムもその後色々聴いて好きになったけど)。
この後くらいに出た、現代音楽家ギャヴィン・ブライアーズと組んだ『Jesus’ Blood Never Failed Me Yet』とか、ハル・ウィルナーのコンピに参加したりとか、この頃はなんかそういう活動が目立っていた時期かも知れない。

ミックスで参加しているチャド・ブレイクはこの後、ロス・ロボスのアルバムやその変名バンド、ラテン・プレイボーイズなどで実験的な音響に拘ったレコーディングを行って(ドラムの録音を一度ギターアンプに通して歪ませる手法が世の好きものの間で一世を風靡した)名を上げていくことになるのだけど、その最初の出会いとしてこのアルバムと、ほぼ同時期にリリースされたスザンヌ・ヴェガ『99.9F』の2枚が個人的にはセットで記憶されております。
あれも良いアルバム。

アルバム冒頭を飾る、チャカポコいってるパーカッション(鍋など)をバックにトム・ウェイツがシャウトするフリーキーな曲。
このアルバムで1番好きな曲と言ったらこれかな。映画『ファイト・クラブ』でも使われてましたね。
後にラモーンズもカバーするアルバムの中では1番ポップで耳馴染みの良い曲(PV冒頭1分弱は別の曲です)。面白PVの監督は俳優業の盟友、ジム・ジャームッシュ。